2025年10月26日

10/20 天塩町の多頭飼育崩壊現場の視察に行ってきました

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10月20日(月)、当会は留萌振興局と天塩町役場と、天塩町内の犬の多頭飼育崩壊現場についての対策会議と現地の視察に行ってきました。

天塩町(てしおちょう)は、北海道北部の日本海沿岸に位置する酪農と漁業が盛んな自然豊かな小さな町です。

長年地域の課題となっていた犬の多頭飼育案件について、2023年2月から関わっている現場で、昨年6月以来の訪問となりました。

当会から遠く離れた天塩町ですので、移動に時間がかかりますが、13時より天塩町役場内で、留萌振興局、天塩町役場と当会、飼い主との計10名で会議を行いました。

会議では、不妊手術を行っていない犬たちについて、今後の捕獲作戦と協力体制、その後の適正飼育のあり方について情報共有を行いました。


元々、この現場では70頭以上の犬が不適正に飼育されており、2023年2月に現地で出張不妊手術を実施いたしましたが、係留されていない犬が多く、一部の捕獲出来なかった犬が現在も出産を繰り返しているため、なかなか終止符を打つことが出来ない状態です。


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今回の経緯としては、9月22日に、天塩町住民課が現地を訪問したところ、1頭お腹が大きい子がいた。
そこで、情報共有と今後の対応についての相談がありました。



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<2024年6月撮影 母犬は、個体番号21番と思われます>

この母犬は、実際は犬は既に9頭出産しており、子育て中でしたが、子犬たちは、9月30日に天塩町役場で保護し、留萌保健所で5頭、当会で4頭引き取りました。

この母犬は、多産系のようで3月にも8頭出産していて、捕獲して不妊手術をしなければ、今後も出産を繰り返してしまいます。




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そこで、犬たちが出入りしているD型倉庫の視察し、捕獲作戦を練りました。




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状況としては、D型倉庫に1頭繋がれていますが、外で3頭が繋がれていない状況で確認されており、当該4頭に加え、D型倉庫に仕掛けられた監視カメラには、普段見かけない白色と茶色(個体番号26番の可能性)の2頭の個体が確認されていました。

長らく、この現場の犬たちの狂犬病予防注射を担当していた役場の職員の方に確認したところ、この現場の犬の可能性はあるとの見解でした。

以上、現状では6頭の犬がいて、2頭は去勢済みオス、2頭は未避妊のメス、2頭は不明個体です。

その内のメス1頭が出産を繰り返しています。




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当日は、外で個体番号14番(去勢オス)を確認することが出来ました。




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D型ハウスは、これまでも何度も掃除や片付けもしてきましたが、どこからゴミが集まるのか、すぐにゴミが散乱し不衛生になります。

この現場をこのまま放置すると、毎年2回、この問題が発生する可能性が高いことから、その対策として、メス個体を捕獲し、避妊手術を受けさせることができないか、また、飼い主や関係機関がどう対応するべきか、今後協力して進めていくこととなりました。

現地では、不妊手術が実施できる病院が少なく、また、遠方の病院まで搬送しなければならないので、それも課題になっています。

まだまだ課題は多いですが、再発防止のためにも定期的な指導・監視が必要です。

行き場のない犬猫を減らし、一頭でも多くの命を繋いでいくこと…これからも関係機関と協力しながら粘り強く取り組んでいく必要があります。



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2025年10月23日

令和7年度災害時におけるペットの防災図上訓練に参加しました

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<会場の江別市消防学校>

10月15日(水)、HOKKAIDOしっぽの会は、江別市にある北海道消防学校で開催された、環境省主催によるペットの防災図上訓練に参加しました。

北海道、江別市 、北海道獣医師会、酪農学園大学、自治体の防災担当部局、動物愛護担当部局、動物愛護団体等、参加者は総勢49名にもおよび、会議は本番さながらの緊張感あふれるものとなりました。




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初めに、NPO法人アナイス代表 平井 潤子先生から、「令和6年能登半島地震から学ぶ災害対策」の講義があり、飼い主は、家族の一員であるペットを守るために「飼い主力」と「防災力」を高めることが大事である。

平時と緊急時の動物福祉の水準は違う。これは災害対策であること等、お話しくださいました。




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続いて、新潟県動物愛護センター技術専門幹 遠山 潤先生による「災害時に自治体が行うペット関連の支援活動」の講義がありました。

「自治体はペットの防災対策として何をすべきか?」近年の災害時における自治体の対応の様々な事例をあげてくださいました。

「平時から関係機関が話し合い準備しておくことが大切である」と仰っておられました。




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午後からは、環境省による「人とペットの災害対策について」の講義があり、その後訓練実施方法の説明がありました。

ペットの同行避難は、環境省が推奨する災害対応の一環であり、命を守る行動です。 受け入れを拒否されることで、飼い主が避難をためらうリスクが出てきます。

そうした観点から、人の安全の意味に於いてもペットとの同行避難は推奨されるべきものなのです。




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図上訓練では、1月の真冬に江別市を中心にして、マグニチュード7.0、震度6強〜7の地震が起きた想定で、道央地域及び一部道南地域で、ライフラインの全てが被害を受け使用できない、ただしメールとラインは辛うじて使えるといった内容で行われました。




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発災直後、発災から1〜2週間と課題が変わってきます。

参加者は災害対策本部や動物救護本部、江別市避難所等、7つのグループに分けて次々と出される課題カードに即答していきました。

動物愛護団体は、当会とニャン友ねっとわーく北海道さまで、各3名が別々なグループに分かれて必死で回答いたしました。




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各テーブルにおける課題を処理しつつ、テーブル内で処理できない課題はメモを添えて、災害対策本部や動物救護本部等、他のテーブルに回しました。




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時間が限られている中、難しい課題カードも配布され、緊急時に瞬時に真摯に対応していかなければならない難しさを感じました。

ですが、最優先は「命を繋ぐこと」です。それには、「我先に」ではなく、皆が秩序を守り協力することが大切です。

最後に 訓練ふりかえり、図上訓練において課題と思われたことや気づいたことをテーブルごとにまとめ発表を行いました。



環境省では、平成24年3月に発生した東日本大震災を契機に、これまでの大規模災害の経験や教訓を元にして、災害時の人とペットの避難が安全かつ円滑に行われるように、ペットとの同行避難を推奨しています。

避難所によっては、ペットの受け入れが出来ないところもあり、まだまだ課題は多いですが、命を繋ぐためには一緒に逃げることが何より大切です。

この度の図上訓練では、「ペット対策について知らないことだらけでした」との声も多く聞かれましたので、厳しい災害状況下で、動物愛護団体が果たせる役割は非常に重要だと感じました。


環境省によると、「ペット同行避難に対する飼い主の意識は高まってきていますが、「ペットがいるから避難しない」、「ペットを避難所には連れていけない」等の考えをもつ飼い主が存在し、ペットの災害対策の課題となっている。また、災害時に設置される避難所において、同行したペットの受入れが拒否された事例なども確認され、ペット同行避難を受入れる体制の整備は十分ではない。」

「人とペットの災害対策を推進するためには、地方自治体(以下「自治体」という。)の避難所等におけるペットの同行避難の受入環境を整備し、円滑に運用がされる体制を確保していくことが必要である。」

と述べられています。

今年も様々な災害が起きていますが、「備えあれば憂いなし」とのことわざもあります。
ですが、時代はもっと複雑になり、災害への備えも単なる物資の準備だけではなく、情報の取捨選択や地域とのつながり、心の備えまでもが求められるようになっています。


以下もぜひ参考にされてみてください。
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▶︎ 人とペットの災害対策ガイドライン https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3002.html


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2025年09月02日

8/25.26 道東地域の野犬視察と犬の引取りのご報告

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<厚岸町役場>

8月25日(月)・26(火)、当会は、道東の厚岸町と浜中町の野犬視察と保健所等から犬の引取りに伺いました。

いつ雨が降り出すか不安なお天気でしたが、お陰さまで2日間雨に当たらず活動することが出来ました。

25日(月)は、厚岸町役場の職員の方のご案内で、地元のNPO法人しおんの会さまとボランティアさん、当会は代表とスタッフと計7名で野犬の視察を行いました。

また、翌26日(火)は、浜中町の2か所の酪農家さんの野犬視察を行い、午後からは標茶保健所、釧路保健所、預かりボランティアさんから計4頭の犬を引取りしました。




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最初の視察は、厚岸町の床潭地区です。

厚岸町は、酪農、漁業どちらも盛んな地域ですが、床潭は漁業の地域で、ちょうど今はコンブの収穫が盛んな時期です。




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犬たちは、触ることは出来ませんが、人には慣れていて餌が欲しくて近くまでやって来ました。




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大きさは中型犬ですが、この地区の野犬は2か所のエリアに分かれて暮らしているそうで、顔や体格も違っています。




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生きていくために必死な犬たち…人のそばで暮らしている野犬たちですが、もとはと言えば飼い犬が交配した末裔と思われます。

その後、酪農地区の太田地区に向かい、酪農家さんとお話しさせていただき、野犬の現状についてお話を伺いました。




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<個人宅の野犬の子犬>

この子は「ボク」と呼ばれていた野犬の子で、ボランティアの方が様子を見てくださっていました。

ここでもこれまでも何度となく繁殖が繰り返されてきたので、1日も早く犬たちを、保護出来るようアニマルフェンスを設置されて、捕獲の準備をされていました。




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26日(火)は、浜中町の視察をさせていただきました。

先にNPO法人しおんの会さまを訪問させていただきました。




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吉田代表が、近くの大規模な酪農家さんをご案内してくださいましたが、牧場主の方や従業員の方にお話を伺うことが出来ました。




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昨年2024年10月にもお邪魔していますが、この画像は10か月前のものです。この子たちは、現在も健在にしているとのこと、安心しました。

ですが、3頭とも避妊・去勢手術をされていないので、これまで何度も出産を繰り返しています。




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この子はメスで、何度もお産をしています。

役場では捕獲予定も立てているそうですので、不妊手術を行うことで、行き場のない犬たちが増えないことを願っています。

牧場主さまは、犬に理解がある方で、「犬たちは大人しく利口だし、悪いこともしないので、増えさえしなければ面倒を看るのは構わない。」との温かい言葉をいただきました。




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その後、60キロほど先の標茶保健所に向かい2頭の犬を引き取りました。




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2頭は、弟子屈町で多頭飼育で放棄されたコーギーと和犬のミックスです。

高齢ですが、力も強く元気いっぱいです。



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男の子で、千と名付けました。臆病なところもありますが、人には慣れています。




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兄弟のダイも男の子です。この子も臆病ですが、人には慣れています。




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次に1時間ほど離れた釧路保健所に向かいました。

職員の方々と地元のボランティアさんが待っていてくださいました。

鶴居村で迷子で保護された血縁のたぶん兄弟であろう3頭はとにかく、はっちゃけていてパワフルです。




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釧路保健所は、収容限界でSOS状態でしたが、何頭かすでにお声がかかっているとのこと。
まだ声がかかっていない三男坊?を引取り、三郎と名付けました。



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三郎は明るく朗らかで素直な元気っ子です。訓練して落ち着きが出たら、良きパートナードッグになってくれるような子です。





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預かりボランティアさんが、床潭で保護した子犬を保健所に連れてきてくださいました。
男の子で、コタと名付けました。




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コタは、小熊のような可愛らしい子で、保護時からボランティアさんがお世話されていたので、とても人に慣れていました。




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釧路保健所では、推定3〜4歳のサビ猫の女の子が出会いを待っていました。

4月初めに負傷猫として収容されましたが、交通事故にあったのか、斜頸があって右回りにぐるぐる回っています。
目は見えておらず、匂いで水や食べ物を確認していました。
小さくかわいらしい子でした。




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北海道における野犬問題とその背景 ― 広大な大地と豊かな自然環境の中で、野生動物が身近に暮らす道東地域。

この大自然の中では、人も、野生動物も、そして愛玩動物と呼ばれる犬や猫も共に命を育んでいます。

野性動物が身近な道東では、番犬や害獣除けとして未不妊のまま犬が飼育されていることも散見されています。

こうした犬たちによる交配で、野犬となる犬が後を絶たない現状ですが、そんな中、温かい農家の方や、役場の方、ボランティアさんたちが必死で命を繋いでいます。


大切なのは、増やさないこと・・・一にも二にも不妊手術を行うことが重要で、不妊手術の実施は、飼い主の責任です。


しかしながら、近隣に病院がない、未去勢のオスの方が害獣除けに使える等、様々な理由で、未実施のまま飼育されるケースが少なくありません。

広大な大地と建物、飼料がある等、犬も住みやすい環境があり、これらが重なり、結果として野犬化につながる事例が後を絶ちません。


<人と動物の共生に向けて>

犬は野生動物ではなく、長い歴史の中で人と共に生きてきました。
人の支えなしでは生きていけない動物であり、人間側の適正な管理と責任ある飼育が求められます。

犬と猫では違いがありますが、地域猫のように不妊手術を施し、数を増やさず一代限りの命として責任を持って見守ることが、野犬問題の根本的な解決につながると考えます。

※狂犬病予防と係留についても同時に考える必要があります。

HOKKAIDOしっぽの会は、 「人と動物が共生する幸せな社会」の実現を目指し、野犬問題にも尽力してまいります。



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posted by しっぽの会 at 21:21 | 多角的活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月24日

無事に アラタくん(旧ビック) 保護しました!!

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6月24日午前2時50分頃、小樽市真栄の空き地にて、捜索を続けていた卒業犬のアラタくん(旧ビック)を無事に保護することができました!!

前日夜から続いていた悲しげな鳴き声を頼りに、スタッフが静かに現場で待機していたところ、数時間後、空き地から姿を現し、食べ物を探している様子を確認しました。

周囲の物音や車の動きにとても敏感で、近づく車や着いていたリードに草が引っかかると驚く様子も見られ、人には近づいて来ないだろうと思い、一度、アラタくんが姿を消した時に車から降りて、スタッフの愛犬を散歩させてみたところ、しっぽを振ってアラタくんが近づいて来ました!

お互いにちゃんと覚えていたのでか感動の瞬間でした。

そばにおやつを蒔いたところ、お腹を空かせていたアラタくんは夢中で食べはじめ、リードが近くまできたところそっとリードを握りしめ、無事に保護することができました。

時折り興奮した様子もありましたが、スタッフは、興奮を抑えつつ連携して落ち着いて対応、アラタくんを担当していたスタッフが落ち着かせ、アラタくんは、オスワリのコマンドに応じるなど、胸が熱くなる感動の再会となりました。




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アラタくんの体には多数のダニが確認されたため、当会でシャンプー後、病院に行くなどもありますので、一旦当会に連れて帰りました。
飲まず食わずだったでしょうから、かなりやせ細っていました。



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【ご協力とご心配くださった皆様にお礼】

今回の捜索に際しては、多くの皆様からご心配や励まし、目撃情報のご提供や応援の言葉をたくさんいただきました。

情報拡散や依頼させていただいた見回りやチラシのポスティングなど、皆様のお力添えが、アラタくんとの再会につながったことを心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

また、見守ってくださったすべての方々に感謝の気持ちをお伝えさせてください。本当にありがとうございました。

アラタくんが心身ともに元気を取り戻すことが出来ますよう尽力いたします。

皆様、本当にありがとうございました!!


posted by しっぽの会 at 04:38 | 多角的活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月21日

捜索中のアラタくん――その後と今後について

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多くの皆さまにご心配をおかけしております。温かいお気持ちに心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

昨年8月に譲渡となったアラタくんが、6月17日(火)に小樽市の自宅付近で逃走してしまい、現在、飼い主さまと複数のスタッフが連携し、慎重に捜索を続けております。

18日(水)夜には鳴き声と姿の確認がありましたが、本日21日深夜1時頃に逃走場所より5〜6キロ離れた小樽市潮見台で姿が確認され、恐れていた移動が始まった可能性があります。

ですが、自ら自宅に戻ることも考えられますので、無事の帰還を願っています。

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【皆さまにお願い】

アラタくんの目撃情報をお待ちしております

逃走場所 17日小樽市新光4丁目 → 21日小樽市潮見台


【ご注意事項】

決して声掛けや追いかけたりせずに、日時・場所・状況をお知らせください


連絡先電話番号:090-9432-9512 または 080-4502-5250 


ご協力、何卒よろしくお願いいたします!


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