
2025年9月29日(月)、16歳の女の子、北海道犬の力桜(りきおう)が静かに虹の橋へと旅立ちました…。
今年3月、残雪が残る肌寒い日。力桜は、しっぽの会にやってきました。
飼い主さんの事情により、最後まで一緒に暮らすことが叶わず、純血の北海道犬で高齢ということもあり、受け入れ先がなかなか見つからず、ご家族は大変苦労されました。
そんな中、当会で力桜をお迎えすることになりました。

初めて会った力桜は、想像とは違い、驚くほどおっとりとしたおばあちゃん犬でした。
首輪もすんなり着けさせてくれ、通院も嫌がることなく、静かに頑張ってくれました。
芯の強さは、さすが北海道犬。特に気に入ったものしか食べない頑固な一面もあり、好みに合う食べ物を探すのは少し大変でした。

とても頭の良い子で、運動場に出す時も出る時の声かけやサークルの出入り口、運動場への入口の足元など、すぐに覚えて移動してくれました。
お散歩へ行く時もハーネスは最初は嫌とか言って吠えましたが、次からはわかってるよ〜と止まってつけさせてくれました。賢い子でした。

<春 芝桜と>

<秋 秋桜と>

意外だったのは、ブラッシングが大好きだったこと。
ブラシをかけると、うっとりと気持ちよさそうに目を細めてくれました。

引き取り後の健康診断では、気管虚脱の疑いがあり、7月には二度の眼振やふらつき、斜頸が見られ、脳の異常が疑われ入院。
一時は歩行も困難でしたが、何とか回復し再び歩けるようになりました。
しかしその後は、貧血との闘いや下痢が続き、体調は不安定な日々が続きました。

腎臓の数値も急激に悪化し、ヘマトクリット値は一時21%まで低下、造血剤やビタミン剤を使いながら、皮下点滴を継続する日々でした。
それでも力桜は、静かに、懸命にがんばってくれました。
8月には右前脚の肩から肘にかけての骨折が判明。
骨が薄く、固定が難しい部位だったため、布での保持処置を行い、痛み止めを使いながら安静を保ちました。
加齢による骨のもろさもあり、暑さ厳しい中、力桜もきっと辛かったと思います。
それでも、寝床を替える時には「りきちゃん、立って」と声をかけると、後ろ足で立ち上がってくれました。
その姿に、スタッフは何度も胸を打たれました。
穏やかで賢く、人の声かけや環境の変化にも柔軟に対応する、優しい子でした。
獣医師からは「骨折中は安静に」との指示があり、スタッフは毎晩、力桜の水飲みとトイレ交換のために犬舎へ向かいました。
しかし骨折は治ることなく、レントゲンでは腫瘍の可能性や肺への転移も疑われ、スタッフは深く落ち込みました。
それでも、痛みは落ち着いているようだったため、夜は自宅に連れて帰ることにしました。
力桜はすぐに環境に慣れ、最期を迎えるまで、お水と流動食をゴクゴクとうっとりした様子で飲んでくれました。
スタッフは、そんな力桜の顔が大好きでした。

力桜も、最期まで本当に懸命に頑張ってくれました。
バイバイ、りきちゃん。またね。
力桜の静かな強さと優しさは、私たちの心にずっと残り続けることでしょう…。
どうか、虹の橋の向こうで、痛みも不安もない世界で、のんびりと過ごしていますように。
力桜の冥福を、皆さまと共に心よりお祈りいたします…。


