2024年10月27日

道東の厚岸町と浜中町の野犬視察のご報告

10月10日、厚岸町で開催された釧路総合振興局主催の「令和6年 厚岸町・浜中町野犬対策会議」の参加に合わせて、先日お伝えした七(なな)・サンジー・ロビン・アロエの引取りの他に現地にいる野犬の視察も行ってきました。

10日は厚岸町2件、11日は浜中町役場職員の方に同行いただき町内2件の現地を視察してきました。



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10日 厚岸町若松地区

今回二度目の視察でしたが、町内のボランティアさんが案内してくださいました。

この案件に当初から関わっているボランティアさんによると若松地区では野犬が増えて、多い時で20頭前後の犬がいたとのことでした。

昨秋は5頭のメス犬が次々と子犬を産み16頭にもなったそうで、保護できなかった子は野犬になってしまったそうです。




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<飼い犬のメスは不妊手術を終えることができました>

そこの住人の飼い犬と野犬達が一緒に餌やりされている状況で、不妊手術もされていないので当然野犬が増え続けていました。

厳しい環境下、最高齢でも7歳とのこと。
犬たちは自然淘汰もされながら生きていたようです。

住人は子犬は連れてって良いが、成犬は熊や鹿や狐などの害獣除けにしているのでいないと困ると不妊手術の話は聞き入れてもらえなかったそうです。




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しかし、ボランティアさんの粘り強い説得で、不妊手術するために敷地内に捕獲の檻や網の設置許可がもらえました。

ここで餌を貰っている成犬を保護し不妊手術しないと終わりが見えない状況です。




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会議後、暗くなっていましたが床潭地区に向かいました。

住人やドライバーに餌を貰っているようで、車の運転席や助手席を観察していて追いかけてきます。




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お腹を空かしているのでしょう…犬たちは痩せていて皮膚病になっている子もいました。

8月22日の厚岸町長への「野犬対策に関する要望書」提出の時以来の視察でしたが、夜だったので3頭の犬の確認で終わりました。

多い時は20頭ほど確認したことのある地域です。

2023年度と2024年8月までに厚岸町では、当会が確認しただけでも170頭余りの子犬が愛護団体や保健所で保護されています。

気の遠くなるような子犬の数ですが、どこも子犬の譲渡だけでいっぱいな状況です。

負の連鎖の蛇口の元を締めるには、成犬を捕獲し不妊手術をしなければなりません。




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触れる距離までは近寄ってきませんが、明らかに餌を期待しています。




11日 浜中町

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浜中町の職員の方に同行していただき2件の現場を視察してきました。

町はずれにいた野犬の子たち。

4〜5か月になった大きさで瓦礫を住処にしているようです。




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兄妹なのか大きさも同じくらいです。

浜中町役場では、子犬を捕まえて地元のNPO法人のドッグレスキューしおんの会に移送しています。

この子たちよりも小さい子犬も保護されているので、取りこぼしとなっている子犬たちもいます。




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そうした子犬たちが半年後には出産し、また子犬が産まれるといったスパイラルが続いています。

浜中町の職員の方からは、成犬も5頭ほどいると伺っています。

ここでも不妊手術がいかに重要であるか考えさせられます。




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<望遠で撮影しています>

同じく浜中町の酪農家に住み着いている野犬です。

酪農家さんでは、自分の犬のように可愛がってくださっているようですが、やはり未不妊なままです。




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この日は、成犬6頭余りを確認しています。




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生後半年くらいの幼い犬もいました。




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浜中町役場の職員の方が同行くださいましたが、私たちの姿を見て3頭の犬たちが逃げていきました。

住宅の軒下にも乳飲み子が数頭いるとのこと。

目撃した以外にも野犬の数は相当数いると思われました。



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野犬に関するまとめ


<発生の原因>

野犬が発生する原因の多くは農家で飼育されている未不妊の犬に原因があります。

住み着いた犬は餌を貰うか飼料など食べているか、何かしら食しそこで繁殖し産まれています。

生まれた子犬に関しては役場で保護しているので危機感がないことにあります。



<飼い主の意識のなさ>

飼い主が不妊手術を実施するのは飼い主の責務です。

しかし、費用の問題、近くに動物病院がない、不妊手術への知識不足による抵抗感、広大な敷地の環境等もあって不妊手術しない飼い主が多くいます。


<譲渡する側の責任として>

未不妊のまま譲渡するリスクがあります。

逃がしてしまったり、気を付けていたとしても発情が来て交尾してしまったり、子犬が産まれている状況もあります。

保健所では譲渡前に不妊手術することはしていません。

当会では、こうした状況を改善したく、行政から譲渡された犬猫の不妊手術助成金事業も行っています。

また、子犬の不妊手術できる病院も札幌市や近郊に限られています。

地域によっても条件が違うので一概には言えませんが、確実に不妊手術できる仕組みを考え、未実施とならないような仕組みとアフターフォローが重要です。


<北海道人と動物の共生センター(野犬リハビリセンター)の構想>

様々な原因により野犬問題の出口が見えない状況ですが、上記に関する対策を根気よく実施していく努力や同時に行き所のない野犬たちが社会化される場所が必要です。

現状の動物愛護センターでは野犬の収容は難しい状況です。

道東の獣医師の方が、こうした現状を打破するには野犬リハビリセンターが必要ではと仰っていました。

以上、広大な北海道の野犬事情。

犬は、人と共に生きてきた動物で野生動物ではありません。

人の支えなしでは生きていけない動物で、人が適正に管理しなければなりません。

地域猫のように、不妊手術を行って数を増やさず一代限りの命として責任を持って管理する必要があります。

保護された犬たちの飼育に悩まれる飼い主さんも多くいらっしゃいますが、当会では「人や社会に慣れていない保護犬の講習会」も開催しています。


HOKKAIDOしっぽの会は、「人と動物が共生する幸せな社会」を目指し活動しています。



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posted by しっぽの会 at 22:29 | 多角的活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする