石狩市動物愛護推進員さまより、高齢のご夫婦の猫の多頭飼育問題についてご報告がありました。
2023年11月中に市の地域包括支援センター内、社会福祉士の職員の方から市の環境課へ、あるご家庭での猫の多頭飼育についての相談がありました。
高齢のご夫婦の戸建てのご自宅で、20頭弱の猫が未手術のまま完全室内で飼育され続けているとのことでした。
飼い主さんは高齢ではありますが、自立はされていてまだお仕事も続けております。
職員さんと一緒にお邪魔させていただいたところお部屋は整然とされている状況でした。
猫は衰弱した様子の数頭がストーブの周りに固まっていて、他は家具の上に隠れていたり、猫自身で住み分けているのか別のお部屋に割と元気な子が数頭いるような状況でした。
通常の猫砂などのトイレは設置していないようで、そこら中に排泄しているのか、とにかくアンモニア臭が酷いのですが、飼い主の方はさほど気にしていないようでした。
繁殖に関しても、産まれても死んでいく状況らしく、現状の20数頭以上には殖えないとおっしゃっていました。
お邪魔させていただいて以来、2頭ほど亡くなったとのご報告を聞きましたので、栄養状態も悪く近親交配も進んでいた結果なのだろうと思います。
このまま放置しても、飼い主さんの生活環境の悪化や、人間と猫双方の福祉も担保されないことは明確でした。
飼い主さんも全頭の手術を進めること、また、少しずつでももらってくれる方が居れば、10歳程度の子2頭以外はもらって欲しいとのご意向でしたので、石狩市環境課で改善に向けて支援してくださることになりました。
環境課では、公益財団法人どうぶつ基金さん(https://www.doubutukikin.or.jp/)のさくらねこ無料不妊手術事業の行政枠で、不妊手術チケットを申請してくれることになりました。
どうぶつ基金では様々審査があるようですが、江別市にあるスペイクリニック、モービルベットオフィス(http://mobilevetoffice.com/)での施術チケットの申請19頭分が無事通りました。
石狩市から江別市までの搬送は所有者の方は出来ないルールがあるようで、ワタシと市の職員の方で手分けして搬送することになりました。
幸い飼い主さんが全ての猫を捕まえることができるとのことでしたのでその点は安心でした。
モービルベットオフィスに手術の予約を入れ、当日になるまでに2匹亡くなってしまったとのことでした。
17頭の猫を入れるキャリーケースの用意ができなかったのですが、江別保健所石狩支所から7台借りることができ、それ以外の10台をNPO法人HOKKAIDOしっぽの会から貸していただけることになりました。
しっぽの会ではキャリーケースを貸していただいた上に、会で使用しないキャットフードもたくさん分けていただき、手術が終わった多頭飼育の飼い主さんや野良猫を保護し自費で手術してくれている市民の方にも差し上げることが出来ました。
あらかじめ、キャリーケース17台を飼い主さん宅に置いて手術当日朝迎えに行ったのですが、全頭は捕まえられておらず、市の職員さんと私もお手伝いしましてなんとか時間通りに全頭運ぶことができました。
健康状態の良くない子もいたのですがスペイクリニックでは低体重の1頭を除き、チケットにて不妊手術をしてくれました。
ひとまずこれで産まれる心配は無くなりましたので、あとはできるだけそれぞれの健康を取り戻し、新しい環境で幸せになってくれればと思っています。
北海道石狩振興局の飼い主探しノート
(https://www.ishikari.pref.hokkaido.lg.jp/hk/kks/kansei/kainusisagasinote-rist.html)と
石狩市のワンニャンバンク(https://www.city.ishikari.hokkaido.jp/soshiki/kankyo/59.html)という
新たな飼い主を探す取組みに登録されていますので、たくさんの方に見ていただきたいです。
低体重で衰弱して手術できなかったメスの1頭は、我が家で2ヶ月間、体重を増やすべく、保護して先日ようやくチケットで避妊手術をしていただけました。
少しずつ体調も上向いているようで、来た時は食欲も無くほとんど動かなかったのですが、最近は猫じゃらしで遊んだりもできるようになりましたし、ご飯も毎日食べています。
キジトラの長毛の女の子です。
猫エイズ陽性で真菌もいるようです。
口内炎も酷くスペイクリニックの先生に歯も抜いていただきました。元気になったらとても美しくゴージャスな子になると思います。
猫エイズ陰性の先住猫さんがいるご家庭は難しいと思いますが、この子にも良い出会いがありますようどうぞよろしくお願いいたします。
多頭飼育崩壊は良く話題になりますが、今回の事例のように猫の福祉が守られず、栄養も医療も不十分なまま、人の福祉の介入によってやっと問題が明るみになるパターンは氷山の一角なのだと思います。
飼い主さんの問題意識の低さもありますが、少しでも早く適正な飼育頭数、繁殖制限や適正な飼育方法が伝わるように周りの方々の普段からの交流などが不可欠だと思いました。
しかしそもそも、飼い主さんが外にいる猫を可哀そうだと家の中に入れてしまい、未手術のままエサだけを与えていたことに端を発するわけですから、外猫を減らしていくことが根本的な解決になります。
また、私たちももっと気軽に相談していただけるような体制を作っていけたらと思っています。
不妊手術を終えたとは言え、飼い主さん宅にはまだ多くの猫がいますので、猫の飼育を考えている方に1頭でも譲受けを検討いただけたらと思います。
今回チケットを発行くださったどうぶつ基金、施術してくださったmobilevetoffice、キャリーケースとフードをご支援いただいたしっぽの会など関係団体の皆さまには感謝申し上げます。
北海道石狩振興局飼い主探しノート
https://www.ishikari.pref.hokkaido.lg.jp/hk/kks/kansei/kainusisagasinote-rist.html
石狩市ワンニャン・バンク事業
https://www.city.ishikari.hokkaido.jp/soshiki/kankyo/59.html
公益財団法人どうぶつ基金 https://www.doubutukikin.or.jp/
Mobile VET Office http://mobilevetoffice.com/
認定NPO法人 HOKKAIDOしっぽの会 https://shippo.or.jp/
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