2021年07月03日
7/2 厚岸町野犬対策関係者会議に参加しました
<厚岸町役場>
7月2日(金)、釧路総合振興局管内の厚岸町役場で、
釧路総合振興局環境生活課、釧路保健所環境衛生係、
厚岸町役場環境林務課、HOKKAIDOしっぽの会の計7名で、
「厚岸町野犬対策関係者会議」が開催されました。
厚岸町(あっけしちょう)は、北海道の南東部に位置し、東は浜中町、北は標茶町、
西は釧路町と接している、総人口 8,956人、世帯数 4,327世帯、
面積は739.27kuと広大な、酪農と漁業が盛んな町です。
これまで、厚岸町は、野犬(ノイヌ)は、
人や産業動物に被害を与える害獣であると
「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」
に基づいて捕獲等を行う駆除の対象となっていました。
しかし、その駆除では、銃殺も行われていたことから、
雑誌や新聞に記事が掲載され、SNS等で全国的に情報が拡がりました。
町役場では、苦情があれば町民やその財産を守るために
恒常的に行われてきたことですが、
ノイヌといっても一般の人から見れば犬である認識や、
動物愛護管理法の考えが社会に浸透していく中、
駆除対策が時代の流れとは違っていたこともあると思います。
そこで、厚岸町役場では、その対応に疲弊され、
今後は銃殺、薬殺は行わないと公表されました。
以下、厚岸町役場のページです。
野犬(やけん)およびノイヌ対策の変更について
https://www.akkeshi-town.jp/oshirase/2592/
<床潭に住み着いている野犬は10頭余りいました>
7月1日は、床潭(とこたん)、若松、トライベツ、太田、大別(おおべつ)、
2日目は、尾幌、上尾幌、片無去(かたむさり)を視察させていただいた後、
再び太田、大別を視察し、漁業や酪農業を営んでいる住民の方に
お話を伺ってきました。
床潭は、牡蠣や昆布の産地ですが、
住み着いた野犬が、昆布を干すための砂利を敷いた地面に
糞尿をして困っているとの苦情がありました。
また、酪農家は、子牛を襲って舌を食べられたり、
死亡した子牛を食べる、配合飼料を食べられたりする、
繋留していた飼い犬が咬み殺された、D型ハウスに住み着く、
5〜6頭の野犬に囲まれ威嚇された、
過去には通学中の小学生が野犬に追われた被害が報告されました。
野犬の群れは、だいたい5〜6頭で数か所に集団でいるようです。
住民の方は口を揃えたように、悪さをしなければ、
いることは構わないと仰り、
排除したいと思っているわけではありませんでした。
ただ、人にとっての悪さは犬の悪戯ではなく、
生きていくための手段や防衛ですので、認識の違いがあります。
6月17日、釧路保健所から引き取りしたポン吉も
床潭の昆布の干場で野犬が糞尿しているとの苦情で
仕掛けていた檻に入り捕獲されました。
床潭地域は、ここ2、3年で頭数が増えているそうです。
<酪農地帯の風景>
どこまでも続く広大な大地。
牧草が刈られていましたが、
酪農家の方は繁忙期で朝から晩まで作業されていました。
<飼料や機械を収納するD型ハウス>
野犬も生きていくのに必死ですから、
配合飼料も食べますし、集団で鹿を襲う野犬もいます。
酪農家の牛舎や飼料庫は、密閉できる環境ではないので、
外部からの動物たちの侵入を防ぐような構造にはなっていません。
<街中で産まれ育った鹿、2日目には親子4頭で役場の駐車場を歩いていました>
鹿、キツネ、オジロワシ、丹頂鶴、
たまたま熊には出遭わなかったというくらいに
走行中、様々な動物と遭遇し、役場の敷地内には町に住む鹿もいるほど、
動物に寛容で共存している印象でした。
人に危害を与えなければ、熊の存在さえ気にならない風土に驚愕し、
そんな中で、これまでの私たちの野犬に対する認識が、
厚岸町とは違うので頭が混乱しました。
現地に来て、様々なお話を聞いたからこそ感じえたことで、
北海道(札幌市から50kmの当会)に住むものでさえ
プチカルチャーショック状態に陥りました。
<収容する際に必要な首輪やハーネス等を厚岸町役場に差し上げました>
2日間、役場の職員の方に一通り現地を案内していただき、
会議は、2日の14時半から閉庁迄、
今後の方向性を探っていくために以下の項目で意見交換しました。
【厚岸町野犬対策関係者会議】
1. 野犬掃討の現状
2. 野犬の現地調査
3. 野犬に係わる今後の対策
(1) 現地調査を踏まえた対応案
(2) 増やさない・生み出さない→啓発・不妊措置等
4. 捕獲後の取扱
(1) 町の一時繋留について
(2) 保健所への引き渡し
厚岸町では、今後、銃殺も薬殺も行わないことをHP上でも公表されていますが、
今後、野犬を増やさないための対策として
■ 箱ワナ(捕獲機)を大幅に増やす
■ 捕獲した犬の繫留場所場所の整備
■ 住民への啓発
以上を実施されるとのことですが、
その第一歩として野犬が出没している地域の方に、
飼い犬の飼育や野犬に関するアンケートを実施する方向で
内容、配布、回収方法等の意見交換を行いました。
また捕獲した犬を収容した際は、
逃がしてしまうと二度と捕まらなくなり、
再び繁殖し野犬が増えてしまいますので、
収容後はなるべく早めに不妊手術を実施していただきたいこと等、
その方法やシステムをどうするかの意見交換も行いました。
<床潭の野犬。左目が開きずらそうでした>
今年は、野犬の被害は減っていると伺いましたが、
床潭の犬たちも若く、
おそらく今年になって生まれた犬たちだと思います。
人間の管理が届いていない犬たちは、
厳しい環境の中、餌も安らげる家もなく、
あるのは今という瞬間だけです・・・
自然淘汰される状況下の中、必死で健気に生きている犬たち。
元を辿れば、無責任な人間に放置された犬たちなのです。
1頭でも、生涯大切な家族として温かな家庭の一員になれたなら・・・
しかし現実問題、野犬として生きてきた犬たちを長期間収容し
順化させていく収容場所や人手、スキル等、
物理的な問題をどう解決していくか・・・
当会で言えば、譲渡が難しい野犬が増えた場合、
収容場所や人手不足から、行政機関で殺処分となるの犬を
いずれ引き取りすることが出来なくなることは明白です。
本当に難しい問題だと思います。
今、考えられるのは、関係機関が協力し合って、
ひとつひとつの案件に真摯に丁寧に向き合い、
出来る限りの力を尽くしていくことなのだと思います。
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