2013年02月20日

死んでいった白ちゃんが残したもの

siro.jpg

先週、石狩保健所で迷子で収容されていた白い犬はもうこの世にはいません。

迷子での収容でしたが、状況からも捨てられたと察しがついていましたし、
案の定、飼い主は現れず、一般譲渡も厳しい犬だったため、週明け殺処分になりました。

つぶらな愛くるしい瞳の白いオス犬は、
人間が怖くて目が合うと緊張し、人が目の前で動くと途端に歯をむき出し激しく威嚇してきました。

掃除用のモップの棒には異常に反応しましたが、
おそらく叩かれるなどの虐待を受けていたに違いありません。

もちろん、多少なりとも犬の性格もあると思います。

しかし、責任の大半は飼い主の飼い方に問題があるのではないでしょうか。

子犬や青年期の若い時期に、問題行動が見られたなら、または予測できるような行動を見たら、
早めに問題行動の専門家や信頼できるドッグトレーナーに相談すれば、
解決の道があったと思います。

犬の性格を把握し、遺伝を熟知している真面目なブリーダーのブリーディングと違って、
素人が選択交配のできない雑種交配は絶対にしてはいけないと思います。

勿論、雑種に限らず純血種も、遺伝学などの専門知識を持たない人のブリーディングで、
多くの犬が疾患を抱かえ、辛い思いをし、また飼い主さんも病院通いが続いたり、
労力、金銭だけでなく、何よりも動物たちが可哀想で切なく哀しい思いをしています。

この子も未去勢でしたが、石狩市では厚田区からたくさんの犬を捕獲しました。

皆、不妊去勢をしていないために生れてきた「行き場のない命」でした。

犬も猫も年に2回、猫なら3回出産する子もいます。

動物たちは自然のままに生きていますから、飼い主が飼育管理しなければ、
発情期がくるたびに出産する、また、親も子どもも出産・・・と無秩序にエンドレスに増え続けます。

適当に飼って、適当に産まれて、適当に所在がつかめなくなり、適当に放棄して・・・
全ては何も考えていない無責任な人間の過ちです。

保健所では、本来ならこうした性格の犬は人知れず殺処分されます。

しかし、この子の性格や行動が矯正できるのか・・・
職員さんの生かしてあげたい思いもひしひしと伝わってきました。

しかし、それには、あまりに時間も労力もありませんでした。
当会に来ても怪我人が続出することは予想出来ました。

保健所の職員さんも、心がへし折れ潰されるほど心を痛めています。

でも、次から次から無責任な飼い主の後始末をさせられています。
勿論、当会でも厚田で捕獲された収容犬をたくさん引き取っています。

行政だから後始末は仕方がないこと?愛護団体だから保護して当然?

そうではないはずです。

犬や猫など動物を飼うということは、飼い主が動物の命を預かることと同じです。

ましてや、不妊去勢もせず、産まれてくる全ての命に責任を持つことは到底不可能です。

不幸な命を未来にまでばら撒くようなことは絶対にあってはなりません。

また、飼い主の責任は動物たちに対してだけではなく、社会に対しても同じです。

人や社会に迷惑をかけないように飼育しなければ、動物たちが逆恨みされてしまいます。

動物を飼うことは、真剣に、ある意味、命への危機感を持って欲しいのです。

そうでなければ、人と動物が共存できる社会は出来ません。

不妊去勢をする、飼ったら最期まで責任と愛情を持って飼う。

もうひとつ・・・

出会った命は偶然ではなく、きっと巡り会う運命だったと思うのです。

だからこそ、大切に、大事にして欲しいと心から思います。

白い犬は、心の中で「白ちゃん」と名付けました。

私たちも白ちゃんが生きた証は忘れません。

白ちゃん、、、、虹の橋のたもとで本当に愛する人に出会うまで、
永い時間がかかるかも知れないけど待っていてください。

白ちゃんの冥福を心より祈りたいと思います。



タグ: 愛護 飼い主
posted by しっぽの会 at 14:36 | 北海道立、市立保健所 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする