2025年03月20日

釧路市総合振興局管内 市町村役場イヌネコ担当者研修会で講師を努めました

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3月11日(火)、釧路市総合振興局管内の市町村役場イヌネコ担当者研修会が開催され、当会が講師を努めました。

近年、動物愛護意識の向上により、行政機関では野犬や野良猫の殺処分を行うことが難しくなり、生きるチャンスを得られるようになったことは大変画期的なことです。

しかし、その一方で、釧路地域には依然として野犬や野良猫が多く生息している地域があり、対策が必要となっています。




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研修会は、釧路管内の関係機関が現場対応を行う際に必要となる知識の習得を目的として、野犬の捕獲及び保護された犬の飼養管理について学ぶというものでした。

当日は、主催の釧路総合振興局環境生活課、釧路保健所、標茶地域保健支所、道東動物愛護センターティアハイム十勝他、10つの市町村と釧路獣医師会の関係者の皆さま29名がご参加されました。



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研修会の演題は「捕獲が困難な野犬の捕獲手法及び保護した野犬の飼育管理について」で、当会代表上杉とスタッフの朝利が講話させていただきました。

当会が野犬に関わることになったきっかけや2012年頃より道東方面の遠方までも犬猫の引き取りを行うことになった経緯など代表の上杉よりお話いたしました。

その後、スタッフの朝利から、滝上町の半野犬の犬たちの3年に亘る保護活動から、捕獲の仕方や野犬の慣らし方や接し方、注意点、重要なこと等お話いたしました。




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この案件は、新型コロナウィルス発生後の2020年5月から2023年6月までの3年間続きました。

現地に住み着いていた85頭を保護し、そのうち当会の環境にどうしても馴染めず心身共に衰弱していた犬たち10頭を餌やり飼い主と共に1週間かけて作った大きな囲いの中にリターンしたことをお伝えしました。

犬たちは、捕獲したら当会施設に収容し、駆虫、不妊手術、混合ワクチン、フィラリア検査、マイクロチップ装着、健康診断、狂犬病予防注射、畜犬登録を行いました。

子犬は不妊手術が終えるまで人慣れを兼ねてスタッフが預かりし、その後施設で散歩訓練も行い社会性も養いました。

また、譲渡前の家庭訪問も実施し、飼い主さまには窓や玄関などの脱走対策を行っていただきました。

現在当会には、成犬5頭、子犬で保護し譲渡出来ていない成犬が6頭の合計11頭に未だ出会いがなく残っています。

野犬などの人や社会に慣れていない臆病な成犬を譲渡するのは困難を極めます。

例えば、不妊手術や狂犬病予防を接種してから、餌を与えていた飼い主の元に合意のうえで戻すなど、犬の気質や状況に合わせ生かしていく道を選択できなければ、捕獲された成犬の行き場がないために、捕獲することが出来なくなる日が来るのではと危惧しています。

こうした野犬問題は、地元である市町村が町の課題として向き合う必要があると思います。

そのうえで、北海道や愛護団体、ボランティアにも協力を求め、わが町で起きていることを自分事として町民も巻き込んで解決していくのが良いのではないでしょうか。

ですが、市町村にとっては、問題解決へのインフラ整備や時間や費用などの負担は大きくのしかかります。

野犬が多い近隣の市町村で連携協力していくのが一番効果的な気がします。

最後に市町村役場さまに実施していただきたい大事な以下をお伝えしました。

1. 役場のホームページに犬猫の専用の常設ページを作り、日頃から適正飼育の呼びかけを行うこと

2. 譲渡前に不妊手術を実施すること

3. 犬猫の安全な収容場所の確保と飼育体制を作ること

4. 適正に飼育できる方に繋いでいくために譲渡の在り方や方法などを構築すること




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北海道の広大な自然の中で野犬の問題は深刻化しています。

特に、酪農地帯等では餌やりによって繁殖を繰り返した野犬の数が増え、生態系への影響や人とのトラブルが起きています。

こうした野犬も元々は飼い主に捨てられたり係留せずに飼育されていた犬たちとその子孫たちです。

牛などの家畜や鹿などの野生動物を襲うこともあり、いつこうした被害が人に及ばないとも限りません。

また、もし海外から狂犬病が持ち込まれれば野犬が媒介源となる可能性もあり放置できない問題です。

そしてこうした行き場のない犬猫を増やさないために必要なことは1にも2にも不妊手術しかありません。

譲渡後に犬を逃がす事例も多く、私たちはこうした事故を防ぐ意味に於いても、保護された時点で不妊手術を行って欲しいと関係各所に呼びかけています。

保護犬の譲渡を行っている行政機関、愛護団体、個人のボランティアも、救っていくだけでなく譲渡する責任を強く持たなければならないと考えます。

行き場のない犬猫を増やさないのに必要なことは、1にも2にも不妊手術と飼い主の適正飼育だからです。



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posted by しっぽの会 at 20:07 | 多角的活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする