9月15日(水)、16日(木)、紋別郡遠軽町の多頭飼育崩壊の猫の案件で、
遠軽町まで1泊2日で行ってきました。
皆さんも時折多頭飼育崩壊の
悲しい話を耳にされることもあるかと思います。
多頭飼育崩壊は圧倒的に猫が多いですが、
何故なら猫は繁殖力も強く年に2〜3回妊娠し、
4頭前後の子猫を産み、犬に比べて鳴き声などで
発見がしづらいことがあります💦
そして半年後には、
子猫だった猫も妊娠できる体になるため、
数年で途方もない数へと増加します。
昨年2020年3月に札幌市で起きた
札幌市最大の238頭の多頭飼育崩壊も
雌雄の猫が繁殖を繰り返し5年で膨大な数になり、
現場には、生き残ることが出来なかった猫たちの骨が
履き寄せられうず高くなっていました・・・。
当会は平日毎日保健所情報と
飼い主探しノートを当会のHPで更新していますが、
雌雄も分からない20数頭の猫が、
紋別郡遠軽町のお宅で飼い主募集されていたので驚き、
まずは繁殖を止めなければならないと、
オホーツク総合振興局さまに
不妊手術のご提案をさせていただきました。
@繁殖を止める
飼い主はご高齢の一人暮らしの方でしたが、
保健所に引き取っていただき飼い主募集するにも、
引き取り料(1頭2,100円)も毎月2頭分の予算しかない。
しかも、猫の繁殖が勝り一向に数は減らない。
A適正な飼育者を早期に探す
猫たちは適正に飼育されておらず、
この多数の猫を保護するにも
関係者が分担で保護する必要がありました。
この度の不妊手術は、
野良猫や多頭飼育崩壊の猫を専門に行っている
Mobile VET Officeの大門みゆき先生に
出張手術をお願いしましたが、
遠軽町役場の要請もあり、行政絡みの案件として、
17頭の猫の不妊手術と高齢のメス猫1頭の不妊手術済みかの
確認をしました。
飼い主探しノート掲載当初、猫は子猫を含め26頭いたそうで、
数年前は5頭くらいだったそうですから、
早期発見、早期の対応がいかに重要であることが分かります。
ここからは時系列で画像の説明です。
自治体の皆さまや多頭飼育の案件でお困りの方がいらしたら
参考にしていただければ幸いです。
会場の遠軽町社名公民館の体育館。
遠軽町の中心部からは車で15分ほどの山間部の廃校の建物です。
トイレ、水道、電気、休憩所もあり、広い屋内で作業もしやすかったです。
オホーツク総合振興局さま、遠軽町役場さま、当会の他に、
清里町の「動物病院ねこのてかりたい」の白岩先生も
奥さまと応援に駆けつけてくださいました。
大きなブルーシートを2枚敷いて、衛生的に管理できる手術場所を作りました。
この時期の北海道は、朝晩は少し冷え込みますが、
日中はまだ暖かいので動き易く、猫たちにとっても安心できる気温でした。
準備は8時半頃から開始し、9時頃に第1陣の猫が6頭到着しました。
オホーツク総合振興局さまと遠軽保健所の方が早朝から飼い主宅で、
汗と猫まみれになりながら捕獲してくださいました。
いよいよ手術が始まります。
手術を待つ猫たちの、体重と性別を確認して体調も確認しました。
捕獲した猫たちが不妊手術を待ちます。
大門みゆき先生の手術は、とても丁寧で的確で手早いので、
サクサクと不妊手術が進んでいきました。
猫はキジトラと白っぽいシャム系の子が多く、
1頭アメショーのような柄の濃いキジトラがいました。
キジトラとシャム系が交配していった猫たちでした。
麻酔が覚醒するまで待ち、容態に問題が無いか側に置いて確認しました。
その後、耳掃除と爪切りを白岩先生が実施してくださいました。
手術を終えた猫は、オス10頭とメス7頭、
飼い主が最初に飼育した高齢のメスが本当に不妊済みなのかは、
触診で確認できました。
猫たちは、不妊手術と抗生物質の注射をして、
体調が優れない猫には点滴をしていただきました。
こうした問題は、一つの団体や部署だけで解決するものではありません。
今回は、オホーツク総合振興局さま、
遠軽町役場の住民生活課と保健福祉課さまの行政の方々と
大門先生、白岩先生と協働で活動することが出来ました。
当会が提案させていただいて、
かかった費用も負担いたしましたが、
この案件の出口が見えた安堵感と
氷山の一角に過ぎない焦燥感と一体になる思いでした。
ですが、目の前の一歩から、
一角であっても実施する意味は大きいと思います。
現在、遠軽町役場さまが管理をしている7頭は、
保健所に収容されるまでの間、
こちらの飼い主探しノートで出会いを待っています。
詳しくは以下からご覧ください。
file:///C:/Users/uesugiyukiko/Desktop/okC3-7(%E4%BF%AE%E6%AD%A3).pdf
当会では4頭のオスと2頭のメスを引き取りました。
この子たちは、推定1〜2歳のシャムトラのオスで、兄弟と思われるます。
キジトラは、1〜2歳のメスが2頭と2〜3歳のオスと8歳くらいのオスの4頭です。
この子が8歳くらいのオスでFIV(猫エイズ感染症)が陽性でした。
痩せていたので、点滴をしていただきました。
どの子もそうでしたが、多頭飼育の猫の強烈な臭いと
痩せていて栄養が足りていない子ばかりでした。
また殆どが1〜2歳、2〜3歳の猫でした。
9月8日(水)付、北海道新聞朝刊総合面「ひと」に
今回ご一緒させていただいた
Mobile VET Officeの大門みゆき先生ご夫婦が掲載されていました。
大門先生は飼い主のいない猫や多頭飼育崩壊で行き場を失っている犬猫を専門に
不妊手術を行っている北海道で唯一の全国的にも珍しい獣医さんです。
当会でも、野良猫や野良犬、多頭飼育崩壊の猫でも大変お世話になっています。
7月には一般社団法人「meico(メイコ)」を設立され、早期不妊手術の推進にも努められます。
性成熟前の不妊手術が浸透すれば、過剰繁殖問題の解決はずっと加速しますと仰り、
大変お忙しい状況でいらっしゃいますが、ぜひ発展させていただきたいです!
<まとめ>
今回の案件では、保健所に放棄し譲渡されていた猫が4頭、
またこの度、4頭を遠軽保健所に引き取っていただき、
当会が6頭引き取り、遠軽町役場さまが7頭保護され、
保健所に空きが出来次第搬送することになりました。
死亡した子猫が4頭いたとのことですので、
元々は26頭の多頭飼育崩壊でした。
もともと飼育していた愛着のある1頭のみを
飼い主の元に残すことになりましたが、
今後、適正に飼育されているか、
そうでなければ、
すぐに飼い主から引き取っていただきたいですし、
別な猫を外から連れ込まないかを、
定期的にケースワーカーさんや役場の人が
家を訪問することとなっています。
このような多頭飼育崩壊は、
孤独や生活困窮と密接に絡み合う人間や社会の
問題でもあります。
HOKKAIDOしっぽの会は、これからも、
行政機関や民間で力を合わせて協働解決する事業を推進し、
「人と動物が幸せに共生する社会」を目指します。
そして、こうした活動が出来るのは、
皆さまからのご寄付のお陰です!
これからも尽力してまいります。
応援・ご支援よろしくお願いいたします!
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