5月16日、石狩市花川から一匹のオスのミックス犬が迷子になりました。
飼い主さまはすぐに迷子の届けを出されたそうです。
名前はクッキーちゃん・・・今月15歳を迎える老犬でした。
チェーンが外れ、本人は気軽な散歩気分だったのかも知れません。
しかし、クッキーちゃんの住んでいる地域はすぐ隣が札幌市。
3日後の5月19日、石狩市と隣接している札幌市手稲区前田で保護され、
札幌市の動物管理センターに収容されました。
5月22日のしっぽレポートの記事です。
収容犬31、5月19日、手稲区前田6条12丁目で保護された白のミックス犬のオス。
赤い首輪をつけ、ドアにかかったチェーンをつけたまま保護されました。
捕獲時は興奮していたのか噛みついてきたそうで、噛みつき注意のコメントが書かれ、
収容期限は5月27日となっていました。
起きている間はずっと動き回り、疲れると眠ることの繰り返しの毎日を送っていました。
しかし、収容から1ヵ月が過ぎ、お迎えも出会いもなく、
また懐きもいい方ではないため、センターにハスキー犬が多頭放棄されたことで、
押し出し殺処分になる可能性が出てきました。
そんな時・・・日頃からセンターを訪れていたボランティアさんが
引き取りを決意されてギリギリの崖ぶちの命は救われました・・・
新た名前はラッキー。
飼い主さまも噛まれたり、ずっと歩き回り、大きな声も上げるなど、
ラッキーちゃんと向き合う日々が始まりました。
そして3ヵ月が経ち、ようやく落ち着き家族の絆が結ばれそうな矢先、
札幌市動物管理センターから『本当の飼い主さんが分かりました』との連絡が入りました。
手塩にかけたわが子同然のラッキーちゃんを手放すなんて、
頭が真っ白に空っぽになったそうです。
元の飼い主さまともお話をされ、数日悩み、
ラッキーちゃんは元の飼い主さまに帰るべきだと判断されました。
この度、ご報告をいただいたのは、こうした事例を通じて、
これまで助からない命もたくさんあったのではないか・・・
このことをきっかけに、行政の横の繋がりや連絡体制など多くの問題を感じたからです。
ラッキーは命を繋げた幸運な一匹にすぎず、、
このようなケースは犬を飼っている方ならいつ起こるかも知れないことです。
これはラッキーちゃんのメッセージではないでしょうか。
10月12日。
快晴の空の下 ラッキーが卒業しました。
まだ飼い主さんに会えることを知らないラッキーは ガムで楽しそうに遊んでいます。
7月3日。 次の日に殺処分を控えたラッキーを引き取りしてから3か月が経ち
管理センターにいた時間も含めて 5か月ぶりに本当の飼い主さんが探し当ててくれたのです。
そして 5か月ぶりの飼い主さんとの再会です。
ラッキーは実は15歳になる子で あんまり派手な喜怒哀楽はありません。
最初は少し戸惑っているように感じました。
お母さんとアイコンタクトをして
離れていた5か月を取り戻しているようです。
やっぱりお母さんだ!
私たちが見たことのない表情のラッキーが お母さんに甘えていました。
ご家族みんなとやっと会えた瞬間です。
私たちはご家族とみんなで話し合い
ラッキーをご家族の元に帰すことにしました。
私たち 一人一人とお別れの挨拶をしてくれました。
この時には 私たちは泣いていましたが
ラッキーの晴れの門出です!
飼い主さんの車にジャンプ!
ラッキーがとても嬉しそうに感じました。
そしてラッキーは大好きなご家族と一緒に幸せそうな顔で卒業していきました!
私たちはとても貴重な経験が出来たと思いました。
5か月も経ってから元の飼い主さんの元に帰れる子はほとんどいないと思います。
ラッキーは実は石狩の子で歩くとすぐに札幌市の手稲区になります。
捕獲されたのが手稲だったため札幌市の動物管理センターに収容されていましたが、
ラッキーの飼い主さんは、石狩保健所にも警察にも届けを出していました。
市をまたいだことで居場所がわからず離ればなれになってしまったのです。
いろんな不運がありましたが、
ラッキーは生きて飼い主さんの元に帰れました。
殺処分を免れ時間はかかってもまた飼い主さんに会えたのは奇跡にも感じます。
ラッキーは捨てられた子じゃなかったことが本当に嬉しかったです。
今回は行政の連携の問題などいろんなことが勉強になり、
不幸な子たちを保護するにも課題がたくさんあります。
でも一匹でも多く殺処分を減らすべく微力ながら活動出来ればと思いました。
しっぽの会のご協力にも深く感謝しています。
本当にありがとうございました。
後日談。
ラッキーが卒業して3日。
用事があってラッキーに会いに行ってきました。
安心しきってグッスリ寝ているラッキーです。
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飼い主さまだったボランティアさん、元の飼い主さま、
ご報告本当にありがとうございました。
札幌市動物管理センターと石狩保健所では、
日頃より地域をまたぐ場所での保護動物の情報提供を行っていますが、
実際このようなことも起きてしまいました。
飼い主は、連絡先が分かるよう必ず首輪に迷子札や鑑さつ札を付けることや、
電子の迷子札と呼ばれているマイクロチップを挿入すれば、
万が一の逸走や災害に備えることが出来ます。
平成7年1月に発生した兵庫県南部地震の阪神淡路大震災では、
1,500頭余りの動物が保護されましたが、
そうした経験から、最もマイクロチップが普及しているのは兵庫県だそうです。
環境省 マイクロチップを入れてますか?
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html
また、飼い主さまも迷子になっても探し方が分からないなど、
私たちも、今後の活動の課題として重く受け止めています。
ネット社会の現在、警察、市役所、動物管理センター、保健所等、
行政の枠組みを超えた体制が求められているのではないでしょうか。